個人再生をしたらETCカードも使えなくなるの?

個人再生をするとクレジットカードが使えなくなりますが、ETCカードはどうなるのでしょうか?
頻繁に高速道路を利用する人にとっては非常に気になるところですが、もしETCカードを使えなくなったらどう対処すれば良いのでしょうか?
ここでは、個人再生後のETCカードの利用について詳しく解説します。
このコラムの目次
1.ETCカードを利用するメリット
高速道路を利用するとき、ETCカードは今や必需品です。
近年のETCカードの利用率は普通車で89%、大型車で98%にまで上り、今後はさらに普及する見込みです。
ETCカードが普及するのは、便利であることに加え、様々な特典があるからです。
NEXCOの高速道路では、ETC車のみ「休日割引」「深夜割引」「平日朝夕割引」などの割引サービスを実施しています。現金車にはそのような特典はありません。
また、首都高はETCカードを持っていれば最低300円から移動することができますが、持っていない人は走行距離に関わらず入口で1,300円を払わなければなりません。
いずれもETCカードがない人には明らかに不利な内容で、現金車での運転は歓迎されない状況になっています。
ETCカードは、高速道路を利用するなら必ず持っておきたいアイテムです。
2.個人再生とETCカード
(1) 個人再生をするとETCカードは利用停止
結論から言えば、個人再生をするとクレジットカードは使えなくなり、ETC機能も利用できなくなります。
個人再生後は各信用情報機関に事故情報が登録され、CIC、JICCは各5年、全銀協は10年間記録が消えることはありません。個人再生後に再びクレジットカードが使えるようになるのは、信用情報機関の事故情報が消えた後です。
クレジットカード会社が加盟しているのはCIC、JICCのいずれかですので、債務整理でカード利用の制限を受けるのは基本的5年です。しかし、個人再生をすると官報に氏名、住所が載り、その情報が消えるまでには7~10年かかります。
クレジット会社の中には官報情報を審査に入れる場合もあるので、その場合は最大で10年カードが作れなくなります。
従って、個人再生をすると、以後5~10年はクレジットカードの作成ができず、ETCはクレジットカードに付帯されている機能なので、その間はETCカードも利用できません。
(2) 個人再生で選択をしない債権者のカードの場合
個人再生をするときはすべての債権者が対象となり、任意整理のように債権者を選べません。
しかし、個人再生をする時にETC機能が付帯されているカードが未使用、または負債が0の場合、カード会社は債権者には含まれません。
通常は個人再生をすると、弁護士の受任通知がカード会社に届いた時点で、クレジットカードは使えなくなりますが、カード会社が債権者に含まれない場合は、個人再生の事実が相手に知らされることはないので、場合によってはしばらく使えることもあるでしょう。
しかし、カード会社が加盟している信用情報機関は情報共有をしているので、3ヶ月に1度のペースで行われる途上与信のタイミングで、他の会社にもバレてしまう可能性が高いです。
個人再生の事実が判明すれば、確実にクレジットカードは利用停止となるでしょう。
ETCカードについては、単独で発行することはないので、クレジットカードが利用できなくなればETCカードも使えなくなります。
クレジットカードとETCカードが一体化してない場合でも、それはクレジットカードの追加カードとして発行しているだけなので、ETCカードを単独で発行してもらうことはできないのです。
3.個人再生後でもETCカードを作りたい!
個人再生後は基本的にETCカードが使えなくなりますが、どうしてもETCカードを使いたい人は以下の5つの方法を参考にして下さい。
(1) ETCパーソナルカード
ETCパーソナルカードは、個人再生でクレジットカードが使えなくなった人に多く利用されているカードです。
ETCパーソナルカードはブラック期間中でも作ることが可能で、高速道路で利用できるクレジット機能のないETCカードです。
クレジット機能が付帯されていないので、信用情報機関に照会して審査で落とされることもありませんが、申し込みの際には保証金を支払わなければなりません。
ETCパーソナルカードの概要は以下の通りです。
発行 |
各高速道路会社 |
---|---|
申込方法 |
|
費用 |
平均月額利用料の4倍の額で、5,000円単位で切り上げ(最低保証金は2万円~) |
保証金の例 |
平均利用額は自己申告ですが、高速道路は保証金の8割までしか利用できないので、2万円の保証金を支払っている場合、7割の14,000円を超えた時点でさらに2万円が追加保証金として強制的に口座から引き落とされます。 |
年会費 |
1,234円(カード作成の翌月に口座引き落とし) |
支払方法 |
利用月の翌月の銀行引き落とし |
①メリット
カード作成にあたり審査がないので、個人再生後でブラックリストに載っていても利用することができます。
②デメリット
保証金が高く、決済に使うことができないので、お金に困っている人にとっては負担が重いと感じます。
(2) ETC法人カード
ETC法人カードは、法人・個人事業主が申し込むことができるETCカードです。
ETCパーソナルカードと同様、クレジット機能はついていないので、個人再生後でも利用することは可能です。
発行 |
高速情報協同組合 |
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申込方法 |
|
費用 |
|
支払方法 |
利用月の翌月20日頃請求書を発行、翌々月8日に口座自動引き落とし |
①メリット
ETC法人カードは、入会時に保証金にあたる出資金を10,000円徴収しています。利用料金が高額になっても追加料金はないので、ETCパーソナルカードに比べると利用者の負担が軽い点はメリットです。
個人事業を営んでいる場合は、ETCパーソナルカードではなく、ETC法人カードに申し込むことをおすすめします。
また、ETC法人カードは様々な車で利用することも可能です。レンタカーでの利用もできるので用途が広い点も人気です。
②デメリット
ETC法人カードは法人または個人事業主しか申し込むことはできません。
会社を営んでいない場合はETCパーソナルカードを利用するのが一般的で、利用者が限定される点はデメリットです。
(3) ETCコーポレートカード
ETCコーポレートカードは大口利用者のためのカードで、個人・法人どちらでも利用することが可能です。
ETCコーポレートカードもクレジット機能はないので審査はなく、ブラック期間中であっても作ることは可能です。
このカードの特徴は、深夜割引、大口・多頻度割引などがある点で、トラック運転手や宅配業、個人タクシ―など個人事業主として輸送業務に携わっている人にはおすすめのカードです。
ETC法人カードと違う点は、1枚あたり1台の車しか利用できない点で、レンタカーでも利用できる法人カードに比べると利便性は落ちますが、仕事で同じ車を頻繁に利用する場合には検討する価値はあるでしょう。
発行 |
高速道路株式会社(NEXCO東/中/西日本) |
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申込方法 |
|
費用 |
金融機関、保証会社の連帯保証人を立てられない場合は、保証金として支払見込月額の4カ月分(最低10万円)を預託。 金融機関等の保証が受けられない場合は、協同組合が保証人になることで、保証金を支払わずに利用することも可能です。 協同組合に加入するには以下の費用が必要です。
|
支払方法 |
利用月の翌月末に支払い |
①メリット
割引率が大きいので、業務利用している人はお得です。
月間利用に対する割引率は以下の通りです(ETC2.0を使用する事業用車両は平成31年3月まではカッコ内の割引率が適用されます)。
- 5,000円超~10,000 円以下…10%(20%)
- 10,000円超~30,000円以下…20%(30%)
- 30,000円超…30%(20%)
この他、車両単位ではなく契約単位の割引もあり、利用頻度、形態に応じて使い方を選ぶことができます。
②デメリット
利用できる車が限定されるので、ヘビーユーザー以外あまりメリットはありません。
また、大口・多頻度割引を受けられるのは首都高と阪神高速道路に限られます。
その他、提出書類も多いので申込に手間がかかる点もデメリットです。
(4) 家族カード
個人再生後は、上記のカード以外にも家族カードを利用するのもおすすめです。
家族カードは本会員と生計を同一にしている場合に発行可能です。ETC機能が付帯されている場合はETCカードも家族カードの枚数分送られてくるので、1人1枚持つことも可能です。
個人再生で使えなくなるのはあくまでも本人名義のカードだけなので、家族名義のカードは何ら影響を受けません。
また、家族カードは発行時に特に審査もないので、個人再生後に自分のために家族カードを発行してもらうことも可能です。
ただし、家族カードだとETCカードを発行できない場合もあります。
また、家族カードの利用履歴はまとめて送られてくるので、利用状況は家族に筒抜けです。
さらに、家族単位で限度額が設定されるなど様々な制約はあります。
しかし、ETCについては保証金等も必要ないので、どうしても必要な場合はおすすめの方法です。
(5) ETCマイレージ
ETCパーソナルカード、ETC法人カード、家族カードではETCマイレージサービスを利用することもできます。ETCコーポレートカードでは申し込みができません。
ETCマイレージを貯めるには、事前に登録をする必要があります。
登録後は走行月の翌月20日に利用額に応じてポイントがつき、還元額からETC料金を支払うことができます。
4.個人再生を検討されている方は泉総合法律事務所へ
このように、個人再生をしても利用できるETCカードは複数存在します。それぞれ一長一短ありますが、利用頻度によってはお得に使えるカードもあります。
そのため、ETCが使えなくなることを心配して個人再生を思いとどまる必要はありません。むしろ滞りなく借金を整理して経済生活を再建することが大切です。
泉総合法律事務所は、個人再生の実績も豊富にございますので、借金問題でお困りの方は早めにご相談ください。
相談は何度でも無料です。
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