交通事故

むち打ちで通院3ヶ月|もらえる慰謝料はどれくらい?

交通事故、特に追突事故で多くみられる怪我は「むち打ち」です。
むち打ちは命にかかわるほどの怪我ではありませんが、症状によっては「後遺障害」となることも多くあります。よくある怪我だから、と軽視してはいけません。

一般的にむち打ちの治療期間は3ヶ月ほどとされていますが、その場合、慰謝料はもらえるのでしょうか。また、後遺障害は認められるのでしょうか。

今回はむち打ちと慰謝料、そして通院期間などについて解説します。

1.「むち打ち」とは

追突で後から強い力が加わると、重い頭部が前後に激しく動きます。それに伴って首周辺(頸部)の筋肉や靱帯にも強い力が加わり、損傷を受けるのです。

また、むち打ちは追突事故だけでなく、急発進などでも受傷する可能性があります。

むち打ちが他の怪我と異なる点は、「事故後数時間~数日経ってから症状が出ることが多い」という点です。
事故直後には痛みなどを感じなくても、事故後に痛みやしびれなどの症状が出てきたら、できるだけ早く病院へ行って検査を受け、診断書をもらいましょう。

また、事故直後に怪我の自覚がなかったのであれば、警察では「物損事故」として登録されています。
受傷の事実が発覚したのであれば、病院が発行した診断書を警察に提出し、「人身事故」に切り替える必要があります。

人身事故として扱われなければ、正当な金額の治療費や慰謝料を受け取ること難しくなります。

むち打ちの代表的な症状は以下のとおりです。

  • 頸部の痛み
  • 腕の痛み、しびれ
  • 頭痛
  • 吐き気
  • 倦怠感

場合によっては、箸やペンを持てないほど手がしびれてしまうこともあります。

【むち打ちで受診するときの注意点】
まず、必ず最初は「整形外科」を受診し、必要な検査を受けましょう。
また、通院頻度が低すぎると治療費打ち切りや慰謝料減額の原因になることがあります。症状があるうちは、できるだけこまめに病院に通いましょう。これは治療と慰謝料請求いずれの観点からも大切です。
また、後遺障害等級認定の際は、「症状の一貫性」や「永続性」についても検討されます。痛みやしびれなどの症状について、その都度適切に医師へ伝えることも非常に大切です。

2.むち打ちで3ヶ月通院した場合の慰謝料の例

(1) 慰謝料の3つの基準

慰謝料の基準には、以下の3種類があります。

【自賠責基準】
3種類のうち最も低い基準が「自賠責基準」。自賠責保険でまかなえる程度の金額です。
以下の2通りの計算を行い、いずれか少ない方が自賠責基準の額となります。

  • 4,300円×入通院期間
  • 4,300円×実治療日数の2倍

【任意保険基準】
各保険会社が独自に決めている基準が「任意保険基準」です。
金額は公開されていませんが、多くの場合「自賠責基準よりは多い」という程度の金額のことがほとんどです。

【弁護士基準】
過去の判例などをもとに作られた基準で、通常、3種類の基準の中で最も高額になります。
「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」)に記載されている表から算出できます。

(2) 入院なし、通院3ヶ月の慰謝料の例

「むち打ちで通院3ヶ月(90日)のうち、通院したのは30回(3日に1度は通院していた)」と仮定すると、以下のように計算ができます。

【自賠責基準】
4,300円×90日 = 387,000
4,300円×(30×2) = 258,000
「より少ない方」が基準ですから、下の258,000円が自賠責基準の慰謝料です。

【弁護士基準】
「赤い本」を参照すると、通院3ヶ月の慰謝料は53万円。これは自賠責基準の約2倍です。

3.保険会社から提示された慰謝料に納得がいかない場合

先ほど少し触れましたが、保険会社からの提示額は「最低限の自賠責基準よりも少し高いが、弁護士基準よりは非常に低い」という程度のことがほとんど。
そのため、提示額に納得がいかないという人も多いでしょう。

納得がいかない場合、以下の手段をとることが考えられます。

(1) 弁護士基準での交渉

保険会社は自社の利益を追求するため、できる限り低めの金額を提示してくることがほとんどです。
しかし、3つの基準の中で最も高額な「弁護士基準」で交渉すると、当然慰謝料の額は上がります。

そしてその弁護士基準で交渉を行うために必要なことはただ一つ、「弁護士が間に入る」ことです。

弁護士が間に入ると、保険会社としては交渉決裂後の「裁判」が視野に入ってきます。
そして、実際に裁判にまで持ち込まれてしまうと、お金と時間がかかりますし、弁護士基準が採用される可能性が極めて高くなります。

これらのリスクを冒してまで任意保険基準で和解するくらいなら、裁判になる前に弁護士基準で和解した方が手間は少ない、と任意保険会社は判断するのです。

(2) 過失割合の正しい算定

「交通事故についての過失(責任)が、当事者双方にどれだけの割合で存在するのか」、を数値化したものを「過失割合」と呼びます。
過失割合は、同じ追突事故であっても、事故の状況で大きく変わります。

例:
・信号待ちで停車していたところ、後続車に追突された → 0:100の可能性が高い
・運転中、急ブレーキを踏んだら後続車に追突された → 30:70などになる可能性あり

こちらが交通法規に従って停車もしくは駐車している状態で追突された場合、「こちらに過失はない」とされることが多いです。
一方、少しでもこちらが車を動かしている状態だった場合、なかなか「過失なし」にはなりません。

そして、こちらの過失の分、慰謝料は減ってしまいます。

例:
「この事故についての慰謝料は100万円」と決まった場合
過失割合が0:100の場合 → 100万円受け取れる
過失割合が30:70の場合 → 過失分(30%)が引かれるため、70万円しか受け取れない

事故にはある程度の類型があり、「このような状況のときの過失割合はこれ」という基準が細かく設定されています。
とはいえ、やはり事故は状況によって異なります。専門家による算定が、その後の慰謝料に大きく関わってくるのです。

保険会社の提示してきた過失割合に納得がいかないという場合も、弁護士にご相談ください。

4.むち打ちの治療に関するよくある質問

最後に、むち打ちの治療に関するよくある質問を解説します。

(1) 治療費を打ち切られそうだがまだ痛みがある

保険会社では「むち打ちの場合は3ヶ月程度で治療が終わる」という目安が設定されています。そのため、事故から3ヶ月前後を目処に「そろそろ治療費を打ち切りたい」という連絡が来るケースが多いです。

しかしこの「3ヶ月」はあくまでも基準です。「むち打ち」と一言でいっても症状はさまざまで、3ヶ月で治療が終わることもあれば、半年以上かかることもあります。後遺症として残る場合もあります。

治療の打ち切りを決めるのは保険会社ではなく医師です。
保険会社から治療費の打ち切りを打診されたら、まずは医師に「保険会社からこのような連絡がきました。今後の治療の見通しを教えて欲しい」と言って、教えてもらってください。

その結果「あと3ヶ月は治療を続ける必要がある」などという回答があれば、そのように保険会社に伝えましょう。必要であればその時点で再度医師に診断書を書いてもらい、それを提出してもいいでしょう。

症状が残っているにもかかわらず治療費を打ち切られてしまったら、それ以降の診療を保険外診療で続けるのは負担が大きすぎます。
その場合、自身が加入している健康保険を使って通院することもできます。

(2) 症状固定になったが後遺症が残っている

症状が残った状態で固定してしまったら、後遺障害等級認定を受けることを検討しましょう。

むち打ちの場合、認められる可能性があるのは14級か12級。他覚的所見(MRI画像や検査結果)の有無などによって等級が変わります。

なお、むち打ちで後遺障害等級が認定されるには大体6ヶ月くらいの通院が必要と言われていますので、「通院3ヶ月で症状固定」という場合は非該当(=後遺障害なし)となる可能性が高いです。
事故や通院の状況によって異なるので、詳しくは専門家に相談してみましょう。

5.むち打ちの慰謝料についての相談は弁護士へ

交通事故で多くみられる「むち打ち」ですが、治療費の打ち切りや症状固定、そして慰謝料や過失割合の算定など、さまざまな点で納得がいかないと思っている人も多いことでしょう。
そんなときはぜひ、法律の専門家である弁護士を頼ってください。

交通事故やその被害は千差万別です。
通院頻度や診断書への記載事項のアドバイス・弁護士基準での慰謝料交渉・後遺障害が残った場合、後遺障害等級認定の申請のお手伝いなど、個々の事例に沿った最善の解決策をご提案します。

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