個人再生の「履行テスト」では何をする？

戸塚にお住まいの方が個人再生をする場合、横浜地方裁判所に申立てを行うことになります。
そして、横浜地裁では個人再生の際に「履行テスト」と言うものが行われており、これに合格しなければなりません。

履行テストは、筆記試験でもなければ体力テストでもありません。
では、はたして履行テストとはどういったものなのでしょうか？

疑問や不安をお持ちの方のために、この記事では履行テストが行われる目的や内容等について紹介していきます。

履行テストには心構えと準備が必要です。どのような準備をすればいいのかも本記事を読めばわかりますので、ぜひご一読ください。

１．履行テストの目的

個人再生は、申立人の債務を大幅に減らした後に、毎月一定額を弁済させる債務整理です。
借金の総額を減らせるとともに弁済額まで減らせるため、申立人にとっては大変ありがたい制度ですが、減ったと言っても毎月の弁済は必要です。

言葉や書面でいくら「個人再生を認めてもらったら必ず毎月弁済を行います」と述べても、それが本当にできなければ絵に描いた餅になってしまいます。
毎月の弁済を実際に履行できるのか確かめるために行われるのが履行テストです。

これに合格しなければ、個人再生を認めても実際の弁済はできないと裁判所が判断し、個人再生は失敗に終わってしまいます。

２．履行テストの内容

弁済できるかどうかを確かめる方法は至って単純です。

申立人の銀行口座または代理人弁護士の銀行口座に、申立人が再生計画で毎月弁済する予定の金額を指定日までに振り込みます。
これを数ヶ月続けるのが履行テストです。

簡単に言ってしまえば履行テストとは「将来の支払いのシミュレーション」というわけです。

毎月遅延せず規定額を振り込めた場合、裁判所は「この人なら個人再生後も本当に滞りなく弁済できそうだ」とプラスの判断をします。
反対に、もし遅延したり額が不足したりした場合は、裁判所が「この人は個人再生を認めても再生計画通りに弁済しないかもしれない」とマイナスの判断をするでしょう。こうなると個人再生は失敗となってしまいます。

なお、横浜地裁では弁護士を代理人に立てれば基本的に個人再生委員は選任されませんが、もし選任された場合は個人再生委員が指定する銀行口座が履行テストの振込先となります。

弁護士を代理人に立てないで個人再生を行う場合は個人再生委員が選任されるので、個人再生委員の指示に従って履行テストを受けてください。

３．履行テストの時期

横浜地裁の場合、「再生手続開始決定」から「再生計画案提出」までの間に履行テストが行われます。
大体3ヶ月から半年程度を想定しておくといいでしょう。

履行テスト後は、再生計画や通帳のコピーを裁判所に提出することになります。
裁判所はそれらの提出書類を確認して、問題がなければ再生計画を認可します。

しかし、履行テスト中に滞納する等すると、裁判所は「再生計画に沿った弁済が遂行される見込みはなさそうだ」と判断して不認可の決定を出すことになります。こうなると個人再生は失敗です。

履行テストには絶対にパスできるよう、細心の注意を払ってください。

４．履行テストで積み立てたお金はどうなる？

履行テストをすると、口座の中に毎月お金が貯まっていきます。このとき貯まったお金は、履行テスト終了後に返還されます。

自分の口座を履行テストに使っている場合はそのまま自分のお金となり、代理人弁護士や個人再生委員の指定した口座を履行テストに使用していた場合は全額が返還されます。

東京地裁の場合は個人再生委員が必ず選任され、個人再生委員への報酬を差し引いた分だけが返還されますが、横浜地裁ではそのような運用がされていません。

その代わり、横浜地裁で個人再生委員が選任される場合は個人再生委員への報酬を一括で納める必要があります。

個人再生委員への報酬は18万円です。弁護士を立てて個人再生する場合は個人再生委員が選任されたときに、弁護士を使わず自分で申立てをする場合は申立て時に18万円が必要なので気をつけましょう。

５．履行テストについては弁護士のサポートを活用

履行テストは、個人再生手続終了後の毎月の支払ができるかどうかを確かめるものです。
テストに使ったお金は最終的に自分の手元へ戻ってくるので損をすることはありませんが、合格しなければ個人再生は失敗に終わってしまいます。

履行テストに毎月どのくらいのお金が必要なのかはケースごとに異なるので、事前に弁護士と相談して見込み額等を聞いておくといいでしょう。

弁護士なら収入に見合った再生計画を作成してくれますし、様々な局面で適切にサポートしてくれます。

個人再生は非常に複雑な手続きですので、ご検討の際はぜひ、泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。